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10代に多い腰椎分離症|治りにくい原因と再発を防ぐポイントとは


10代の子どものうち、特にスポーツに携わる方に多いけがの1つが「腰椎分離症」です。

腰椎分離症の方には「治療を受けてもなかなか治らない」「一度治っても再発する」などの情報から、不安に感じている方もいるのではないでしょうか?


腰椎分離症は、適切なケアや治療を行うことで、治療期間を短縮し、再発を防げる可能性があります。

腰椎分離症の治療を行う場合は、けがの特徴や対処法をきちんと理解しておくことが大切です。


この記事では腰椎分離症が治りにくいとされる原因や、再発を防ぐポイントを解説します。


■腰椎分離症とは?


腰椎分離症とは、腰椎(腰の高さにある背骨)が疲労骨折を起こし、運動中に痛みが出現する「スポーツ障害」の一種です。


骨の成長が著しく、体が未発達な10代のうちに背骨へ強い負荷がかかるスポーツをすると、腰椎分離症になる可能性があります。


腰椎分離症は、適切な治療を行うことでスポーツ復帰も目指せますが、治るまで時間がかかる方や再発する方が少なくありません。


治りにくく再発しやすい原因を理解し、万全の状態でスポーツを行うためにも、治療や再発予防のポイントを理解することが大切です。


腰椎分離症の詳しい症状や治療法は『成長期のスポーツ選手に多い「腰椎分離症」の原因・症状・治療についての記事で解説していますので、ぜひご覧ください。


■腰椎分離症が治りにくい・再発しやすい原因


腰椎分離症が治りにくく、再発もしやすいのは、背骨が運動の強度に耐えられていないことが原因と言われています。


過去に行われた調査では、保存療法(手術をしない治療法)で腰椎分離症から運動に復帰し、再発した10代の方は、けがをした競技に復帰したことで再発したと報告されています。


また、この調査では、腰椎分離症で骨の癒合(折れた骨がくっつくこと)がきちんとできていたにも関わらず再発しているとも報告されました。


10代は成長期であるために、骨がやわらかく、また筋肉なども未発達の状態です。

体ができあがっていない状態で激しい運動を行うと、腰椎分離症が再発しやすくなってしまいます。


また、治療を受けながらスポーツを続けてしまうために、分離した骨の癒合が遅れてしまい、なかなか治らない場合もあります。

万全の状態でスポーツへ復帰し、再発を防ぐためには、治療中や治療後における運動量の調節が重要です。


辰村正紀.腰椎分離症における保存療法後再発例の特徴.
日本臨床スポーツ医学会誌:Vol. 26 No. 3, 2018.451p


■腰椎分離症の再発を防ぐポイント


腰椎分離症からスポーツ復帰した場合、再発を防ぐには以下のポイントを抑えておくことが大切です。


  • ・体幹の筋力を鍛える

  • ・ストレッチで全身の柔軟性を高める

  • ・コルセットやサポーターを使用する

  • ・定期的に検査やケアを受ける


それぞれ詳しく見ていきましょう。


◎体幹の筋力を鍛える

腰椎分離症の再発予防には、体幹の筋力(腹筋や背筋)を鍛えることが重要です。

体幹の筋力を鍛えることで背骨が安定し、運動による負担を軽減できます。


特に、背骨を安定させる「インナーマッスル」を鍛えると、スポーツ復帰後に再発するリスクを減らせる効果が期待できます。

治療中の安静期間にトレーニング方法を習得し、スポーツ復帰後も継続してインナーマッスルを鍛えることが重要です。


◎ストレッチで全身の柔軟性を高める

ストレッチを習慣化し、柔軟性を高めておくのも再発を防ぐポイントになります。

筋肉のこわばりや関節の動かしにくさがあると、背骨にも負担がかかり、腰椎分離症が再発しやすくなるためです。


特に、股関節周囲のストレッチを入念に行うことは、腰痛対策や腰の負担を減らすのに効果的です。

運動前後はもちろん、空き時間があれば積極的にストレッチを行い、再発リスクを減らしましょう。


◎コルセットやサポーターを使用する

スポーツ復帰後もコルセットやサポーターを使用することで、背骨への負担を減らし、再発を予防できます。


注意点として、長期間コルセットやサポーターを装着し続けると、筋力が落ちてしまう可能性があります。そのため、装着するのは強度の高い運動を行う場合や大会中などに限り、その他の時間は外すこと、自分の筋力を鍛えることが大切です。


◎定期的に検査やケアを受ける

腰椎分離症の再発が心配な場合は、治療後も整形外科で検査やケアを受けるのもよいでしょう。X線画像診断(レントゲン)などの設備を使用し、治療後も定期的に骨の状態をチェックすることで、再発予防や早期発見が可能です。


また、治療後もリハビリテーションに通い、自分に合ったトレーニングやケアを受け続けると、再発予防だけでなくスポーツのパフォーマンス向上に繋がります。


理学療法士から、自分の状態に合わせた運動強度も伝えて貰えるため、安心してスポーツへ復帰できるでしょう。


■腰椎分離症は原因を理解して治療や再発予防に努めよう


腰椎分離症は、10代のスポーツ障害の中でも治りにくく、再発しやすいけがの1つです。

すみやかに痛みを改善してスポーツへ復帰し、再発を予防したい方は、原因の理解と治療・再発予防のポイントを覚えておきましょう。


『えさき整形外科リウマチ科』では、腰椎分離症の検査や治療、再発予防のサポートを提供しています。

腰痛に悩んでいる方、腰椎分離症からのすみやかなスポーツ復帰と再発予防を希望する方は、お気軽に当院へご相談ください。


えさき整形外科リウマチ科科
医師

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