
膝の痛みが出現する原因の1つに、体重の増加があります。
肥満傾向にある方は、変形性膝関節症による膝の痛みを招きやすくなるため、注意が必要です。
この記事では、肥満や体重増加と変形性膝関節症の関係を解説します。
目次
■肥満は変形性膝関節症の原因の1つ
肥満傾向にあり、体重が増加し過ぎている人は、変形性膝関節症を発症しやすくなると言われています。
これは、立った時や歩く時などに、膝関節の「関節軟骨」へ負担がかかりやすくなるためです。
膝関節の関節軟骨は、膝の曲げ伸ばしをスムーズにしたり、体重がかかった時の衝撃を吸収したりする役割があります。
正常な関節軟骨はみずみずしく、ある程度の厚みが保たれていますが、過度に負担をかけ続けていると擦り減ってしまうのです。
体重が重いと、立っている間や歩く時に膝関節へかかる衝撃も大きくなります。
体重の重い方は、関節軟骨がすり減るのを早めてしまい、膝関節の変形や痛みが起こりやすくなるのです。
■体重増加が変形性膝関節症を招く理由
肥満が変形性膝関節症を招く理由として、膝関節が体重の影響を受けやすいことがあります。
膝関節は、歩行時に体重がかかることによる衝撃と、床から跳ね返ってくる衝撃の2つを受け止めています。
体重が増加すると、重さによる負担と床から跳ね返ってくる負担が増加するため、関節軟骨が劣化しやすくなります。
歩行時には、体重の3~5倍の力が膝関節にかかると言われています。
体重が1㎏増えるだけでも、相当な負担が膝関節にかかってしまうため、肥満の方は増やさないよう予防することが大切です。
また、肥満傾向にある方は、運動不足による筋力低下が起こっている場合もあります。
膝関節を支える筋力が低下すると、関節への負担はさらに大きくなり、関節軟骨が劣化しやすくなるでしょう。
■肥満による変形性膝関節症の予防法
肥満による変形性膝関節症の発症を防ぐには、以下の予防法が重要です。
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・食生活を見直す
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・運動習慣を身に付ける
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・リハビリテーションを受ける
詳しく見ていきましょう。
◎食生活を見直す
肥満の原因として、高カロリーな食事を繰り返すことがあげられます。
ジャンクフードの食べすぎや、偏った栄養バランスの食事、間食の摂りすぎなどは、体重を増加させる要因です。
摂取カロリーが消費カロリーを上回ると体重が増加し続けてしまうため、食事内容を見直し、体重をコントロールすることが大切です。
◎運動習慣を身に付ける
体重を減らすには、運動習慣を身に付けるのが効果的です。
運動によって体重が減るだけでなく、膝関節を支える筋肉が鍛えられるため、関節や軟骨の劣化を防ぐことにつながります。
ただし、膝関節に体重のかかる運動は、運動そのものが膝へ負担を与える点に注意が必要です。
そのため、体重が減るまでの間は、膝関節に負担のかかりにくい運動を積極的に行うことをおすすめします。
はじめは水泳やサイクリングなど、直接膝へ体重がかからない有酸素運動を行い、体重が落ちてきたらウォーキングやスクワットなどの運動を取り入れてみましょう。
◎リハビリテーションを受ける
すでに膝の変形が進んでいる場合や、痛みがあって思うように運動できない場合は、リハビリテーションを受けるのもよいでしょう。
理学療法士による個別のリハビリでは、自分に合う運動方法や、痛みを取り除きながら運動する方法を提案してもらえます。
自主トレーニングの指導や、膝へ負担をかけにくい生活方法のアドバイスも受けられるため、困ったときは相談してみましょう。
■肥満による膝の痛みには「APS療法」も選択肢の1つ
減量しようにも痛みが強くて動けない方、リハビリテーションで効果が得られないという方は、APS療法を受けるのも選択肢の1つとなります。
APS療法とは、自分の血液から採取したタンパク質を使用し、患部の痛みや炎症を抑える「再生医療」の1種です。
関節軟骨が擦り減り変形した膝関節は、炎症が起こりやすく、痛みも強く感じる場合があります。
APS療法で炎症の改善を促し、痛みが引いてから運動を行うことで、効果的に減量と膝の治療を行えるでしょう。
関連記事:手術しない膝・肘の治療「APS療法・PRP療法」のメリット・デメリットについて
■肥満を予防・改善して膝関節の変形を防ぎましょう
体重が増加すると、変形性膝関節症を招きやすくなり、膝の痛みが出やすくなります。
関節を保護し、いつまでも自分の脚で歩けるようにするには、肥満を予防・改善することが大切です。
心当たりのある方は、生活習慣や運動習慣を見直してみましょう。
自分だけでは肥満や膝の痛みを改善できない場合は整形外科へご相談ください。
『えさき整形外科リウマチ科』では、肥満による変形性膝関節症の治療や相談も受け付けています。
当院では、膝の痛みに対し、専門的なリハビリテーションやAPS療法など、幅広い選択肢の治療を提案可能です。お気軽に当院へご相談ください。

