TOPICS トピックス

関節リウマチの症状をセルフチェックして手足の腫れから受診先を確認

関節リウマチの症状をセルフチェックして手足の腫れから受診先を確認

手足の腫れや朝のこわばりから受診の目安を確かめる

手足の関節の腫れや朝のこわばりが続くときは、セルフチェックで症状の傾向を整理したうえで、早めにリウマチ科や整形外科へ相談することが大切です。この記事では、関節リウマチの初期症状として確認したい項目と、手の使いすぎや更年期の不調と自己判断で見分けにくい理由、受診時に医師へ伝えたい症状メモの作り方を解説します。


この記事の要点まとめ


  • 指の付け根や手首、足の指の腫れ、30分以上つづく朝のこわばり、左右どちらにも出ているかを確かめる。
  • セルフチェックは診断ではないため、症状が続くときはリウマチ科・整形外科へ相談する。
  • 痛む場所や時間帯、続いている期間、くらしで困る動きをメモし、受診のときに医師へ伝える。

関節リウマチの初期症状セルフチェック|手指・手首・足指と朝のこわばり

関節リウマチの初期症状セルフチェック|手指・手首・足指と朝のこわばり

関節リウマチの初期症状は、手指や手首、足指の小さな違和感から始まることが少なくありません。ここに示すセルフチェックは病気を診断するものではなく、受診を検討する際の判断材料として日々の生活場面に照らして確認するための項目です。


指の付け根・第二関節・手首・足指の付け根に腫れや押すと痛む関節があるか


関節リウマチでは、指の付け根(MP関節)や指の真ん中の第二関節(PIP関節)、手首、足の指の付け根などに腫れや痛みが出ることがあります。一方で、爪に近い第一関節(DIP関節)の腫れや変形は、加齢や使いすぎに伴う変形性関節症(ヘバーデン結節など)でよくみられます。


関節リウマチの腫れは、骨が硬く出っ張るというよりも、関節のまわりがぶよぶよと柔らかく膨らむのが特徴です。熱っぽさや赤みを伴うこともあり、指で軽く押したときに痛みを感じます。普段の生活で「結婚指輪が抜けにくい」「パソコンのキーボード入力で指が重く感じる」「朝の出勤時にいつもの靴がきつく、歩き始めに足裏や足指の付け根が痛む」といった変化がないか確かめてみましょう。


朝のこわばりは30分以上続くか、手を握りにくい感覚はあるか


朝起きたときに手がむくんだように重く、指を曲げ伸ばししにくい状態を「朝のこわばり」と呼びます。しっかりグーを握り込めない、パジャマのボタンが留めにくい、お弁当箱の留め具やペットボトルのふたに力が入りにくいといった感覚として気づく方が多い症状です。


変形性関節症などでも動き始めのこわばりは起こりますが、数分から十数分ほどで和らぐことが一般的です。関節リウマチの初期には、朝のこわばりが長く続くことがあり、受診を考える目安の一つになります。ただし、家事や身支度で手を動かしているうちに日中は動かしやすくなるのも、この症状でよくみられる経過です。


左右両方の関節に出ているか、症状がいつから続いているか


右手と左手の両方など、左右対称に近い形で複数の関節に腫れや痛みが現れやすい点も関節リウマチの特徴です。また、関節の症状だけでなく、睡眠をとっても抜けにくい全身のだるさ、疲労感、微熱、食欲の低下といった全身の症状が重なることもあります。これら関節と全身の症状は、免疫の異常によって全身の関節や組織に炎症が起きる「膠原病(こうげんびょう)」と呼ばれる病気のグループに共通してみられるサインでもあります。


診断の分類基準では、関節の症状が6週間以上続いているかどうかも、点数に加わる項目の一つです1。しかし、受診そのものをその期間が過ぎるまで待つ必要はありません。2〜3週間ほど腫れや朝の違和感が続いている段階でも、早めに医療機関へ相談して構いません。


家族歴・喫煙・歯周病・健診での抗体結果も確かめておく


関節の症状とあわせて、発症や悪化に関わるとされる背景がないかも整理しておきましょう。


  • ご家族の病気:親や兄弟姉妹に関節リウマチや膠原病の方がいる
  • たばこやお口のようす:いま、または以前にたばこを吸っていた、歯ぐきの腫れや出血など歯周病のサインがある
  • 健康診断の結果:健康診断や人間ドックの血液の検査で「リウマトイド因子(RF)」や「抗CCP抗体」が陽性と言われたことがある

ご家族に同じ病気の方がいても必ず発症するわけではありませんが、体質的な傾向を知る手がかりになります。これらの項目は、診察を受ける際に医師へ伝える情報として事前に確かめておくと役立ちます。


ポイント

指の付け根や第二関節、手首、足の指がはれていないか、朝のこわばりが長く続いていないかを見てみましょう。左右に広がっているか、からだのだるさがあるかも、ご家族の病気などとあわせてまとめておくと、受診の目安になります。


セルフチェックだけで判断しにくい理由と、様子を見る前に知りたい誤解

セルフチェックは自分の体調を振り返るきっかけになりますが、その結果だけで関節リウマチかどうかを決めることはできません。様子を見続ける前に知っておきたい、よくある誤解を整理します。


誤解1:当てはまる項目が少なければ関節リウマチではない


セルフチェックには「何項目以上に当てはまれば受診すべき」という公式な判定基準はありません。関節リウマチの診断は、医師による関節の診察と、血液検査や画像検査の結果を組み合わせて総合的に行われます。


発症して間もない時期は、片側の指1〜2か所だけが腫れるなど、典型的なそろい方をしないことも珍しくありません。関節の腫れや痛みが続くときは、当てはまる項目の数や特定の期間にとらわれず、早めに相談することが大切です。


誤解2:日中に動かしやすくなるなら、大げさに考えなくてよい


「朝は指が動かしにくいけれど、昼頃には仕事や家事ができるから大丈夫」と受診をためらう方は少なくありません。しかし、関節の炎症による朝のこわばりは、安静にしていた関節を動かし始めることで日中に軽くなるのが一般的な特徴です。


昼間に動かしやすくなることは、病気を否定する理由にはなりません。反対に、夕方になると疲れとともに痛みが強まる場合や、動かすほど痛む場合もあります。「朝だけこわばり、昼は楽になる」といった時間帯ごとの変化そのものが診察での大切な手がかりになるため、遠慮せずそのまま医師へ伝えてください。


誤解3:手の使いすぎや更年期の不調なら自分で見分けられる


40代から50代の女性では、手指の腫れやこわばりを引き起こす原因がいくつも重なります。長時間の入力作業や家事による腱鞘炎(けんしょうえん)、軟骨がすり減る変形性関節症(ヘバーデン結節やブシャール結節)、女性ホルモンの変化に伴う更年期の手指の不調、さらには痛風や関節リウマチ以外の膠原病でも、よく似た関節症状が現れます。


これらは起こりやすい年代や痛むところが重なるため、ご自身の感覚だけで見分けるのはむずかしいものです。痛むところが同じでも、その原因や関節の中のようすは人によってちがうことがあります。自分の判断で様子を見つづけるよりも、診察と検査で原因を確かめるほうが、納得して対処しやすくなります。


湿布で様子を見続ける前に|急な腫れや発熱は早めに相談を


関節が痛むときに市販の湿布を貼ってしのぐ方も多いですが、湿布は消炎鎮痛成分によって一時的に痛みを和らげるものであり、関節が腫れている原因そのものを調べる手段ではありません。湿布で痛みが少し落ち着いていても、関節の中の炎症が続いている場合があります。


また、セルフチェックの項目に関わらず、次のような症状があるときは早めの受診が必要です。1つの関節が急に赤く腫れ上がって熱を持っている、38度近い発熱や強い寒気を伴う、転倒や打撲などけがの後に腫れが引かない、といった場合です。このようなときは細菌による関節の感染症や痛風発作、靭帯損傷・骨折など別の原因も考えられるため、日数を置かずに整形外科などを受診してください。


ポイント

日中に症状が軽くなるときや、当てはまる項目が少ないときでも、自分の判断や湿布だけで様子を見つづけないようにしましょう。ほかの病気との見分けも含めて、医師の診察を受けてください。


リウマチ科・整形外科の受診で確かめることと、医師に伝えたい症状メモ

手足の腫れやこわばりで受診する際は、リウマチ科または整形外科が相談の窓口になります。診察で行われる検査の目的と、受診前に準備しておきたい症状メモの項目を確認しておきましょう。


問診・触診とエコー・レントゲン、血液検査でそれぞれ確かめること


診察ではまず問診と触診を行い、どの関節に腫れや押したときの痛みがあるか、関節がスムーズに動くかを一つずつ確かめます。そのうえで、必要に応じて画像検査や血液検査を組み合わせます。


検査の種類主に確かめる内容と目的
エコー(超音波)検査関節を包む「滑膜(かつまく)」の腫れや、炎症による血流の増加をリアルタイムで観察します。
レントゲン検査骨のすき間の狭まりや「骨びらん(骨の表面が削れた変化)」の有無を確認し、変形性関節症など他の骨・関節の病気と見分けます。
血液検査リウマトイド因子(RF)や抗CCP抗体といった自己抗体、CRPや赤沈などの炎症反応の強さを調べます。

初期の関節リウマチでは、血液検査で抗体が陰性となることや、レントゲンでまだ骨の変化が映らないこともあります。1回の検査で異常がはっきりしない場合でも、症状が続くときは期間をおいて経過を追い、再評価していくのが一般的な流れです。なお、初診時の検査(問診・触診、血液検査、レントゲン・エコー等)にかかる費用は、行う検査の項目や医療機関によって異なるため、気になるときは受診先に問い合わせておくと準備しやすくなります。


受診前に用意したい症状メモ|時間帯・部位・左右差・期間・困る場面


診察室に入ると緊張して伝えたいことを忘れてしまいやすいものです。事前に次のような項目をメモにまとめて持参すると、限られた診察時間でも状態を伝えやすくなります。


  • いつから・いつごろに:症状に気づいたころと、朝のこわばりがどのくらい続くか
  • どの関節が・左右どちらか:腫れや痛みのある場所(指の付け根、手首、足指など)と、左右で違いがあるか
  • 見た目の変化とからだ全体のようす:熱っぽさや赤み、だるさ、微熱があるか
  • くらしで困っている動き:パソコン入力、お弁当の留め具、ボタン掛け、朝の歩き始めなど具体的な場面
  • 背景のこと:ご家族の病気、たばこを吸うか、歯周病があるか、健診の結果(結果の紙があれば持っていく)、いま飲んでいる薬

朝は腫れていたのに診察の時間には引いてしまうこともあるため、腫れや赤みが目立つときにスマートフォンで手足の写真を撮っておくのも有効な方法です。


診断後に考える治療と、体を動かすことの位置づけ


検査の結果、関節リウマチと診断された場合は、関節の炎症を抑えて軟骨や骨の変形を防ぐことを目指し、抗リウマチ薬などを用いた薬物療法を早い段階から検討します。また、薬物療法と並行して、関節の動きを保つためのリハビリテーション(運動療法や物理療法)も組み合わされます。


関節リウマチでは、有酸素運動と筋力トレーニングを組み合わせると体の動きや疲れやすさが、手の運動では手の働きがよくなるとされています2。慢性的な痛みに対しても、適切な運動を取り入れることが、痛みをやわらげたり体の機能を保ったりすることにつながる可能性があります3。また、地中海食など抗炎症を意識した食事が痛みに影響する可能性を検討した報告もありますが、科学的な根拠の質は限定的とされています4。食事や自己流の運動は医師による診断や薬物療法の代わりにはならず、関節に強い炎症がある時期に無理な運動を行うと負担になることもあるため、運動の内容や始める時期は医師や理学療法士と相談しながら進めます。


通い続けやすいかかりつけ医に相談する


関節の症状は経過を見ながら検査や治療を続けていくことがあるため、仕事やご家庭の予定と両立して通いやすい医療機関を選ぶことも大切です。大きな総合病院だけでなく、整形外科とリウマチ科をあわせて相談できる地域のかかりつけ医という選択肢もあります。


当院(えさき整形外科リウマチ科)は、地下鉄桜通線鶴里駅から北へ歩いて5分のところにあり、となりに専用の駐車場を15台分用意しています。昭和47年に先代の院長がひらいた医院を受けつぎ、お子様からご年配の方まで「あそこに行ったら大丈夫」と思ってもらえるよう、スタッフみんなでていねいな診療を心がけています。くわしい検査や入院での治療などが必要なときは、つながりのある近くの病院へご紹介しています。


予約や紹介状がいるかどうか、診療時間はアクセスページなどで確かめていただき、手足のはれやこわばりが気になるときはお気軽にご相談ください。


よくある質問


Q. リウマチかどうかを自分でチェックする方法はありますか?


A. 朝起きてから手指のこわばりが30分以上続くか5、指の付け根・第二関節・手首・足指の付け根に柔らかい腫れや押したときの痛みがあるか、左右両方の関節に出ているかなどを確認する方法があります。ただし、セルフチェックだけで関節リウマチと診断することはできないため、当てはまる変化があればリウマチ科や整形外科を受診して検査を受けることが必要です。


Q. リウマチに気づくきっかけにはどのようなものがありますか?


A. 日常の小さな動作のしづらさがきっかけになることが多くあります。たとえば「朝、手をグーに握りにくい」「お弁当箱の留め具やペットボトルのふたを開け閉めしにくい」「結婚指輪がきつくなった」「朝起きて歩き始めるときに足の指の付け根や足裏が痛む」といった変化から気づいて受診される方がみられます。


Q. リウマチの指は、どこが痛くなりやすいですか?


A. 手指では、指の付け根の関節(MP関節)や、指の真ん中にある第二関節(PIP関節)、そして手首に腫れや痛みが出やすいのが特徴です。一方、爪に一番近い第一関節(DIP関節)の痛みや腫れは、変形性関節症(ヘバーデン結節)など別の原因で起こることが多いとされています。


Q. リウマチの朝のこわばりは、どんな感じですか?


A. 朝目覚めたときに、手全体がむくんで手袋をはめているように重く感じたり、指を曲げ伸ばしするときに引っかかるようでスムーズに動かせなかったりする感覚です。30分以上続くことが一つの目安とされますが5、家事や身支度で手を動かしているうちに日中は動かしやすくなることもよくあります。


参考文献

1. 膠原病・リウマチ内科|関節リウマチ|順天堂大学医学部附属順天堂医院. https://hosp.juntendo.ac.jp/clinic/department/collagen/concerned/disease/

2. Hu H, Xu A, Gao C et al. The effect of physical exercise on rheumatoid arthritis: An overview of systematic reviews and meta-analysis. Journal of advanced nursing. 2021. PMID: 33176012 / DOI: 10.1111/jan.14574

3. Geneen LJ, Moore RA, Clarke C et al. Physical activity and exercise for chronic pain in adults: an overview of Cochrane Reviews. The Cochrane database of systematic reviews. 2017. PMID: 28436583 / DOI: 10.1002/14651858.CD011279.pub3

4. Schönenberger KA, Schüpfer AC, Gloy VL et al. Effect of Anti-Inflammatory Diets on Pain in Rheumatoid Arthritis: A Systematic Review and Meta-Analysis. Nutrients. 2021. PMID: 34959772 / DOI: 10.3390/nu13124221

5. 痛みや腫れを改善 進化する関節リウマチ治療 – 独立行政法人国立病院機構 東京医療センター. https://tokyo-mc.hosp.go.jp/topics/storyofillness_20260501_02.html

6. 大腸がん検診について:[国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方へ]. ganjoho.jp. https://ganjoho.jp/public/pre_scr/screening/colon.html


向藤原 由花

医師


えさき整形外科リウマチ科

院長

向藤原 由花

経歴
1989年
名古屋市立大学医学部卒業名古屋市立大学整形外科入局
名古屋市立東市民病院(現東部医療センター)整形外科
名鉄病院整形外科
春日井市民病院整形外科勤務
1995年
名古屋市立大学整形外科
1999年
JA愛知厚生連海南病院整形外科
リウマチ関節外科部長兼リハビリテーション科代表部長
2017年
医療法人紫雪会江崎整形外科院長
資格・所属学会
【資格】
日本整形外科学会専門医
日本リウマチ学会専門医
医学博士
【所属学会】
日本整形外科学会
日本リウマチ学会
JOSKAS(日本関節鏡・膝・スポーツ学会)
日本人工関節学会
日本股関節学会
骨折治療学会
中部整形外科災害外科学会
日本運動器学会