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母のように指が変形する?関節リウマチを放置した場合と受診の目安

母のように指が変形する?関節リウマチを放置した場合と受診の目安

母の手と自分の指を見比べたときに


買い物の手伝いの帰り道、変形のある母の手と自分の指を見比べてしまう。そんな方に向けて、関節リウマチの炎症が関節に及ぼす影響、変形の進み方、相談の目安、診断と治療の基本を順にお伝えします。変形の進み方には個人差があり、家族と同じ経過になるとは限りません。


この記事の要点まとめ


  • 関節リウマチの炎症が続くと、軟骨や骨、腱などに影響し、指の変形につながる場合があります。経過には個人差があります。
  • 朝のこわばりや複数の関節の腫れが続くときは、整形外科・リウマチ科への相談を検討しましょう。
  • 治療は抗リウマチ薬を中心に、状態に応じてリハビリや装具などを検討します。湿布は炎症治療とは役割が異なります。

関節リウマチを放置すると、なぜ指が変形するのか

関節リウマチを放置すると、なぜ指が変形するのか

腫れが続く関節で、軟骨や骨に起こること


関節リウマチは、免疫の働きに異常が起こり、関節を包む滑膜(かつまく)に炎症が生じる病気です1。最初に目立つのは、滑膜が厚くなることによる関節の腫れ。炎症が長く続くと、増えた滑膜が軟骨や骨を少しずつ傷め、関節破壊へ進む場合があります1。指の腫れや痛みが数週間続くなら、使い過ぎと決めつけずに原因を確かめることが、関節を守る出発点になります。


指の曲がりや親指の変形は、骨だけの問題ではない


手指の変形には、指の関節が反る「スワンネック変形」、途中で折れ曲がる「ボタン穴変形」、指全体が小指側へ寄る「尺側偏位」などがあります12。骨の損傷に加え、腱や靱帯が伸びたり切れたりすることも関わります1。親指は靱帯や関節包が引き伸ばされて形が変わりやすく3、硬貨をつまむ、ボタンを留めるといった細かな動作に影響が出ることもあります。


手首や足の関節にも症状が出ることがある


炎症は手指に限らず、手首や足の関節にも起こり得ます。手首では腱が傷みやすく1、握る力が入りにくくなる方も。足の指の付け根が腫れると、歩き始めに痛みを感じることがあります。見た目に変形がなくても炎症が続いている場合があるため、形だけで病状を判断しないようにしましょう。


母と同じ速さで変形する?進み方と元に戻せるか


変形までの期間は一律ではなく、家族とも経過が異なる


「何年くらいで変形するのか」というご質問はよく受けますが、期間を一律に示すことはできません。炎症の強さ、治療を始めた時期、薬への反応などで経過は人それぞれです。関節リウマチの手を11年にわたって追った研究でも、変形の型や変化の仕方は患者様ごとに異なっていました2。血縁者に関節リウマチの方がいると発症しやすい傾向は知られていますが、お母様に変形があることだけで、ご自身の診断や将来の関節の状態が決まるわけではありません。薬物療法の選択肢も、以前と比べて広がっています2。


できた変形は自然には戻りにくいが、相談できる治療はある


骨や軟骨の損傷、腱の断裂によって生じた変形は、炎症を抑えても元の形には戻りにくいのが実情です2。とはいえ、相談できることは残っています。痛みや使いにくさに応じて、炎症を抑える薬物療法、関節の動きを保つリハビリ、装具の活用を組み合わせます。親指や指の機能が大きく損なわれている場合は、腱の再建や関節形成などの手術を検討することもあります3。何に困っているかを具体的に伝えていただくと、選択肢を一緒に考えやすくなります。


愛知県で相談する目安と、関節リウマチの診察・検査


朝のこわばりと腫れが続くなら、忙しくても相談を


次のような状態が続いているなら、整形外科・リウマチ科への相談を考える目安になります。


  • 起床時の指のこわばりが30分以上続く
  • 複数の指の関節が腫れる日がある
  • 左右の手に似た症状が出ている
  • 腫れや痛みが6週間近く続いている

関節の損傷は、目に見える変形より前から始まっていることがあります。「形が変わってから」ではなく、症状が続いている今の段階で相談してください。症状が出始めた時期、腫れやすい関節、仕事で困る動作をメモしておくと、診察がスムーズです。愛知県内で仕事や家族の用事と両立するなら、勤務先やご実家から寄りやすい医療機関を選ぶと、定期的な通院を続けやすくなります。


診察では何を調べる?血液検査と画像検査の役割


診察では症状の経過を伺い、どの関節が腫れているかを指で触れて確かめます。血液検査では、炎症の程度を示すCRPや赤沈、関節リウマチと関連するリウマトイド因子や抗CCP抗体などを確認します。画像検査では、レントゲンで骨のびらんや関節の隙間の変化を、エコーで滑膜の炎症や血流の増え方を見ます。検査の数値だけで診断が決まるわけではなく、診察所見と合わせて総合的に判断します。当院は整形外科・リウマチ科を標榜しています。ご家族の病歴も伺いつつ、いまのご本人の関節をよく見て判断することを、院長は大切にしています。


変形を防ぐための治療と、湿布だけに頼らない理由


抗リウマチ薬を中心に炎症を抑える治療を考える


関節リウマチと診断された場合、治療の中心は抗リウマチ薬による薬物療法です。メトトレキサートなどの飲み薬から始めることが多く、炎症が十分に抑えられないときは生物学的製剤なども検討します。目的は痛みを和らげることにとどまらず、関節破壊の進行を抑えることにあります。肝機能の変化や感染症にかかりやすくなるといった副作用が出ることもあるため、定期的な血液検査で確かめながら続けていきます。


リウマチの腫れに湿布を貼っても、受診は必要?


湿布は痛みをやわらげる助けになりますが、関節の中で続く炎症を抑える治療の代わりにはなりません。「整形外科に行っても湿布を出されるだけでは」とためらう方もいますが、診察の目的は腫れの原因を調べることです。湿布を使いながら1〜2週間たっても腫れが引かないなら、受診を検討しましょう。


仕事で指を使い続ける方は、困っている動作も伝える


「レジで硬貨をつまみにくい」「朝はレジ袋の口が開けにくい」といった具体的な支障は、治療方針やリハビリの内容を考える手がかりになります。遠慮なく診察でお話しください。こわばりや腫れが続いているなら、まずは通いやすい整形外科・リウマチ科で一度関節を診てもらうところから始めてみてください。


よくある質問


Q1. 関節リウマチを放置するとどうなりますか?


A. 滑膜の炎症が続くと、軟骨や骨、腱や靱帯が少しずつ傷み、指の変形や動かしにくさにつながる場合があります。進み方には個人差があるため、症状が続く段階で医療機関に相談し、状態を確かめることをおすすめします。


Q2. リウマチで変形した関節は元に戻りますか?


A. 骨や腱の損傷による変形は、自然に元の形へ戻ることは少ないとされています。ただし、薬物療法で炎症を抑えること、リハビリや装具で手の使い方を工夫すること、状態によっては手術を検討することなど、困りごとに応じた相談は可能です。


Q3. 関節リウマチの進行スピードはどのくらいですか?


A. 一律の期間は示せません。炎症の強さや治療開始の時期などで経過は異なり、同じ家族の中でも違いがあります。早めに炎症の程度を調べておくと、今後の見通しを立てやすくなります。


Q4. 湿布は何日くらい使ってから受診すればよいですか?


A. 1〜2週間使っても腫れやこわばりが続く場合や、複数の関節に症状がある場合は、受診を検討してください。湿布は痛みをやわらげる対処であり、関節リウマチの炎症そのものを抑える治療とは役割が異なります。


Q5. 漢方薬や治療費について知っておくことはありますか?


A. 漢方薬は症状の緩和を目的に併用されることがあり、保険適用となるものもあります。一方、甘草を含む処方ではむくみや血圧上昇が起こることがあるため、他の薬との飲み合わせも含めて医師に確認しましょう。治療費は保険診療の場合でも、飲み薬中心か生物学的製剤を使うかなどによって幅があります。一般的な費用の目安は当院の費用ではありません。実際の費用は薬の種類や医療機関により異なり、当院の費用は診察のうえでご案内します。高額療養費制度が利用できる場合もあります。


参考文献


1. Pfanner S, Poggetti A. Swan-Neck and Boutonniere Deformity in Rheumatoid Hand. Hand Clinics. 2025. PMID: 39521583 / DOI: 10.1016/j.hcl.2024.08.004

2. Toyama S, Tokunaga D, Tsuchida S, et al. Comprehensive assessment of alterations in hand deformities over 11 years in patients with rheumatoid arthritis using cluster analysis and analysis of covariance. Arthritis Research & Therapy. 2021. PMID: 33640011 / DOI: 10.1186/s13075-021-02448-4

3. Dyer GS, Simmons BP. Rheumatoid thumb. Hand Clinics. 2011. PMID: 21176802 / DOI: 10.1016/j.hcl.2010.10.001


向藤原 由花

医師


えさき整形外科リウマチ科

院長

向藤原 由花

経歴
1989年
名古屋市立大学医学部卒業名古屋市立大学整形外科入局
名古屋市立東市民病院(現東部医療センター)整形外科
名鉄病院整形外科
春日井市民病院整形外科勤務
1995年
名古屋市立大学整形外科
1999年
JA愛知厚生連海南病院整形外科
リウマチ関節外科部長兼リハビリテーション科代表部長
2017年
医療法人紫雪会江崎整形外科院長
資格・所属学会
【資格】
日本整形外科学会専門医
日本リウマチ学会専門医
医学博士
【所属学会】
日本整形外科学会
日本リウマチ学会
JOSKAS(日本関節鏡・膝・スポーツ学会)
日本人工関節学会
日本股関節学会
骨折治療学会
中部整形外科災害外科学会
日本運動器学会