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仕事と介護を続けたい方へ|膝のリハビリ・注射・手術の順番

仕事と介護を続けたい方へ|膝のリハビリ・注射・手術の順番

週4日の立ち仕事と週末の実家通いを守りながら


勤務後の階段がつらい。以前の注射で楽になったのに、また痛みが戻ってきた。そうなると、次に何をすればよいのか迷います。この記事では、診察で確かめること、リハビリ・薬や注射・手術を検討する順番、その順番が変わる条件を整理しました。仕事や介護の事情は、治療計画を立てるための大切な情報です。


この記事の要点まとめ


  • 診察では画像だけでなく、痛みの経過や立ち仕事・介護で困る動作、注射歴も伝え、治療方針を相談します。
  • リハビリや薬・注射を検討し、変化や通院条件を振り返りながら、必要に応じて治療内容を見直します。
  • 症状や関節の状態に応じて手術を相談することがあり、術後のリハビリや仕事復帰、介護や費用も確認します。

膝治療の順番を決める前に、診察で何を確かめる?

膝治療の順番を決める前に、診察で何を確かめる?

診察・レントゲンと生活上の困りごとを合わせてみる


問診では、痛みが出始めた時期と腫れの有無を伺います。そのうえで膝の曲げ伸ばしや歩き方を確認します。レントゲンでは関節のすき間や骨の変化を見て、変形性膝関節症の段階を判断する材料にします1。


ただし、画像の段階が同じでも、次の一手は人によって違います。勤務後の階段がつらい方と、日常ではほとんど困っていない方とでは、優先することが変わるためです。治療の順番は、画像と生活の支障を合わせて決めていきます。


「ブチッ」と感じた後や急に歩けないときは順番が変わる


次のような場合は、半月板や前十字靱帯などの損傷も考えられます。


  • ひねった瞬間に「ブチッ」と感じた
  • 急に体重をかけられなくなった
  • 膝が引っかかって伸びない

こうしたときは、運動を始めるより先に診察を受けてください1。立ち仕事を休みにくい事情があれば、そのまま医師に伝えましょう。勤務中の動き方や装具の使い方も含めて、どこまで動いてよいかを相談できます。


注射歴と立ち仕事・介護の動作を伝える


以前に受けた注射について、種類と楽だった期間を伝えてください。湿布や飲み薬の使用歴も、次の治療を選ぶ手がかりになります。


生活の中で膝に負担がかかる場面もメモしておきましょう。たとえば、立ちっぱなしの時間や、実家の階段、買い物の荷物運びなどです。介護で外せない動作がわかると、リハビリの目標を具体的に決めやすくなります2。


リハビリ・湿布や薬・注射はどの順番で試す?


整形外科で湿布だけだった場合、次に何を相談する?


湿布や飲み薬は、炎症や痛みを和らげて動きやすくするためのものです。湿布を何日まで続けるかは、成分や症状によって異なります。かぶれや胃の不調が出たときも含めて、医師に確認しましょう。


湿布とサポーターを併用する場合は、次の点も相談してください。


  • 締め付けで湿布がずれないか
  • 蒸れて皮膚が荒れないか

湿布だけで様子をみるのではなく、運動療法や装具を組み合わせる段階かどうかを尋ねてみてください。次の方針が見えやすくなります12。


仕事を続けながら行う運動療法と通院リハビリ


変形性膝関節症では、運動療法が保存療法の基本の一つとされています。太ももの筋力トレーニングや、膝を伸ばす練習などです12。


通院時には膝の動きや歩き方を確認し、自宅でできる運動を一緒に決めます。通院の回数は一律ではありません。勤務日や痛みの強さに合わせて調整します。休みの日に通院し、勤務日は自宅で数分の運動を続ける、といった組み合わせも相談できます。


ヒアルロン酸注射後に痛みが戻ったら、続ける前に見直す


膝の注射には、ステロイド、ヒアルロン酸、PRP(ご自身の血液から取り出した成分を使う注射)などがあり、種類ごとに痛みや機能の変化を比べた研究もあります3。ただし、結果は研究ごとに異なり、どの注射が合うかは一律には言えません5。PRP療法は国内で標準的な治療として確立したものではなく、長い期間にわたる有効性や安全性については、まだ十分な根拠がそろっていません。


同じ注射を繰り返せば楽な状態が続くとは限りません。 楽だった期間、階段や歩行の変化、注射後の腫れなどを振り返り、運動療法も含めて方針を見直しましょう。


なお、PRP療法は自由診療(公的医療保険の適用外)で、高額療養費制度の対象にもなりません。再生医療等安全性確保法に基づく手続きを経て行われる治療です。一般的には、採血をして血液を加工したあと膝に注射する流れで、回数は1回〜数回、経過の確認には数か月ほどかかることが多いとされています。費用は1回あたり数万円〜20万円程度と、加工の方法や医療機関によって幅があります。これは一般的な相場であり当院の費用ではありません。当院の費用は診察のうえでご案内します。注射後に一時的な痛みや腫れが出ることがあるほか、まれに感染などが起こる可能性もあります。


保存療法から手術相談へ移る目安と、術後の暮らし


痛みが続く・階段や勤務に支障が残るときの見直し方


数か月ほど治療を続けたら、一度振り返ってみましょう。痛みの強さだけでなく、歩ける距離、階段の上り下り、勤務後の膝の状態も確認します。


変化が乏しいときは、痛みの原因が本当に膝にあるかも含めて、診断と治療内容を確かめ直します。そのうえで、手術の相談や別の医師の意見を聞くことも選択肢になります1。


骨切り術と人工関節は、どんな状態で相談する?


  • 骨切り術:脚の軸を調整して、傷んだ部分にかかる負担を分散する方法です。自分の関節を残します。
  • 人工関節置換術:傷んだ関節の表面を人工の部品に置き換える方法です14。

どちらを検討するかは、年齢だけでは決まりません。関節の傷み方や変形の程度、普段の活動量によって変わります。次の点は個別に尋ねておきましょう4。


  • 手術で期待できること
  • 感染や血栓などの合併症
  • 入院期間と、仕事を休む期間

手術前後のリハビリと歩行・階段への復帰


手術前から筋力を保っておくと、術後のリハビリに取り組みやすくなります。術後は、膝の曲げ伸ばし、筋力、歩行、階段の練習を段階的に進めていきます2。


リハビリが不足すると、膝が十分に曲がらない、筋力が戻りにくいといった状態につながることがあります。歩き始めや仕事に戻る時期は、術式と経過によって異なります4。


愛知県で通院と仕事・介護を両立するための相談事項


通院の頻度と勤務日の組み合わせを相談する


リハビリや再診の頻度は、治療内容によって変わります2。次のことを伝えると、無理のない計画を立てやすくなります。


  • 勤務日
  • 自宅で運動に使える時間
  • 実家までの移動手段

愛知県は車で移動する機会が多い地域です。運転や車の乗り降りで膝がつらい場合も、あわせて伝えておきましょう。


手術が視野に入ったら費用と介護の代替手段も確認する


膝の手術の多くは保険診療で行われます。医療費が高額になった場合は、高額療養費制度で自己負担に上限が設けられる仕組みがあります。


費用を調べたときに目にする金額は一般的な相場であり、当院の費用ではありません。 実際の費用は、医療機関や入院日数によって異なります。


費用とあわせて、入院中や術後しばらくの間にお母様の世話を誰が担えるかも確認しておきましょう。介護保険サービスが使えるかどうかも、早めに話し合っておくと準備がしやすくなります。


受診時は注射歴と「続けたい生活」を持参する


当クリニックに限らず、膝の腫れが関節リウマチなど別の病気と関係していないかも、診察で確認することが大切です。


受診の際は、次のことを書き出してお持ちください。


  • これまでの治療
  • 痛みが戻った時期
  • 立ち仕事と介護で外せない動作

診察のうえで、次に試す治療と見直す時期を一緒に決めていきましょう。


よくある質問


Q1. 膝のリハビリは週に何回くらい通えばよいですか?


A. 決まった回数はありません。症状や治療の段階、勤務日によって調整します。通院日以外は自宅での運動を続け、通院時に動き方や運動の内容を確認していく形がよくとられます。


Q2. 膝の手術後にリハビリをしないとどうなりますか?


A. 膝の曲がりが不十分なまま固まったり、筋力が戻りにくくなったりすることがあります。歩行や階段の動作にも影響しやすいため、術後は医師や理学療法士の指示に沿ってリハビリを進めることが勧められます。


Q3. 膝の手術後、歩けるようになるまでどのくらいかかりますか?


A. 術式や手術前の筋力、術後の経過によって異なります。人工関節置換術では、術後早い時期から歩行練習を始めることが一般的です。ただし、杖なしで歩けるようになる時期や仕事に戻る時期には個人差があります。


Q4. 人工関節手術の後は、どのようなリハビリを行いますか?


A. 膝の曲げ伸ばしの練習、太ももやお尻の筋力トレーニング、バランス練習、歩行や階段の練習を段階的に行います。退院後も、自宅での運動と通院でのチェックを続けていきます。


Q5. 膝の湿布は何日まで続けてよいですか?


A. 成分や症状によって異なります。処方された用法を守ってください。かぶれが出た場合や、使い続けても痛みが続く場合は、医師に相談して治療内容を見直しましょう。


参考文献


1. 公益財団法人 日本医療機能評価機構. Minds ガイドラインライブラリ. https://minds.jcqhc.or.jp/

2. 公益社団法人 日本リハビリテーション医学会. https://www.jarm.or.jp/

3. Jawanda H, Khan ZA, Warrier AA, et al. Platelet-Rich Plasma, Bone Marrow Aspirate Concentrate, and Hyaluronic Acid Injections Outperform Corticosteroids in Pain and Function Scores at a Minimum of 6 Months as Intra-Articular Injections for Knee Osteoarthritis: A Systematic Review and Network Meta-analysis. Arthroscopy. 2024. PMID: 38331363 / DOI: 10.1016/j.arthro.2024.01.037

4. 日本外科学会. https://www.jssoc.or.jp/

5. Qiao X, Yan L, Feng Y, et al. Efficacy and safety of corticosteroids, hyaluronic acid, and PRP and combination therapy for knee osteoarthritis: a systematic review and network meta-analysis. BMC Musculoskeletal Disorders. 2023. PMID: 38037038 / DOI: 10.1186/s12891-023-06925-6


向藤原 由花

医師


えさき整形外科リウマチ科

院長

向藤原 由花

経歴
1989年
名古屋市立大学医学部卒業名古屋市立大学整形外科入局
名古屋市立東市民病院(現東部医療センター)整形外科
名鉄病院整形外科
春日井市民病院整形外科勤務
1995年
名古屋市立大学整形外科
1999年
JA愛知厚生連海南病院整形外科
リウマチ関節外科部長兼リハビリテーション科代表部長
2017年
医療法人紫雪会江崎整形外科院長
資格・所属学会
【資格】
日本整形外科学会専門医
日本リウマチ学会専門医
医学博士
【所属学会】
日本整形外科学会
日本リウマチ学会
JOSKAS(日本関節鏡・膝・スポーツ学会)
日本人工関節学会
日本股関節学会
骨折治療学会
中部整形外科災害外科学会
日本運動器学会