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ヒアルロン酸注射で改善を感じにくい方へ
膝の痛みでヒアルロン酸注射を何度も受けているのに、思うような手応えがないとお悩みではありませんか。その背景には、関節の状態や治療アプローチに関する理由が隠れていることがあります。本記事では、次に検討したい3つの治療選択肢と、ご自身に合う選び方の判断基準をわかりやすく整理してお伝えします。
この記事の要点まとめ
- ヒアルロン酸で手応えを感じにくい背景には、関節の進行度・炎症・筋力低下などの要因が考えられる
- 次の選択肢としてPRP療法・ステロイド注射・外科的治療があり、特徴や費用はそれぞれ異なる
- 治療選びは進行度・費用・生活ゴールの3軸を整理し、担当医と相談しながら検討することが大切
目次
- ヒアルロン酸注射を続けても「効果を感じにくい」3つの原因
- ヒアルロン酸の次に検討したい「3つの主要治療法」の比較ポイント
- 自由診療の前に検討したい、保険診療で進められる「その他の対策」
- あなたに合う次の治療を選ぶための具体的な判断基準
ヒアルロン酸注射を続けても「効果を感じにくい」3つの原因
ヒアルロン酸注射は変形性膝関節症に対する代表的な保存療法ですが、症状の進行度や関節内の状態によっては、十分な手応えを実感しにくいことがあります1。ここでは主な3つの原因を整理しました。
1. 軟骨の摩耗や関節の変形(KL分類)が進行しているため
変形性膝関節症の進行度は、KL分類(Kellgren-Lawrence分類)という指標で評価します。グレードが3〜4まで進み、軟骨がすり減って骨同士が接触している状態では、ヒアルロン酸の潤滑・クッション作用だけでは痛みを抑えきれない場合があります。関節の隙間が狭くなるほど、注射単独でのアプローチには限界が見えてくることも少なくありません。
2. レントゲンに写らない「滑膜の炎症」や「半月板の損傷」があるため
膝の痛みは骨の変形だけが原因とは限りません。関節を包む滑膜の強い炎症や半月板の損傷が痛みを引き起こしているケースもあります。これらはレントゲンでは判別しにくいため、当院ではエコー検査を用いて関節内の炎症や軟部組織の状態をリアルタイムに確認し、原因を丁寧に評価しています。
3. 薬物療法(注射)だけに頼り、根本的なアプローチが不足しているため
注射は炎症や痛みを一時的に和らげる手段ですが、膝を支える筋力の低下や体重増加といった負担要因が残っていれば、症状は繰り返しやすくなります。運動療法や生活習慣の見直しを組み合わせない治療は、長期的な変化につながりにくいと考えられます。
ヒアルロン酸の次に検討したい「3つの主要治療法」の比較ポイント

ヒアルロン酸注射で手応えを感じにくくなったとき、次のステップとして検討される代表的な選択肢をご紹介します。
選択肢①:PRP療法(再生医療・自由診療)の特徴と費用感
PRP療法は、患者さまご自身の血液から血小板を濃縮した成分を関節内に注入し、組織修復や抗炎症を促すことを目的とした再生医療の一種です。当院でも再生医療(APS・PRP療法)を実施しています。自由診療のため費用は数万円〜十数万円が目安で、通院回数は治療計画によって異なります。手術を避けたい方の選択肢として注目されています。
選択肢②:ステロイド注射(保険診療)の即効性と留意点
ステロイド注射は、強い炎症を短期間で抑える即効性が特徴で、保険診療で受けられます。ただし頻繁な使用は軟骨や周囲組織への影響が指摘されており、使用頻度には配慮が必要です。急性期の強い痛みに対して、一時的に用いられることが多い治療法といえます。
選択肢③:外科的治療(人工関節手術など)の適応と高額療養費制度
保存療法で変化が見られず日常生活に大きな支障が出ている場合は、骨切り術や人工関節置換術が検討されます。手術費用は高額になりますが、「高額療養費制度」を利用することで自己負担額の軽減が見込める仕組みが公的医療保険に用意されています1。術後のリハビリと定期的なフォローも重要なポイントです。
自由診療の前に検討したい、保険診療で進められる「その他の対策」
再生医療や手術を検討する前に、保険診療の範囲でまだ試す価値のある対策があります。
適切な運動療法(リハビリ)による膝周囲の筋力強化
膝を支える大腿四頭筋を中心とした筋力トレーニングは、関節への負担を物理的に軽減する有効なアプローチと考えられています。当院ではリハビリテーション科で理学療法士が個々の症状に合わせた運動指導を行っています。
装具療法(インソールなど)による関節のアライメント調整
足底板(インソール)やサポーターを使い、膝の内側にかかる過度な負荷を分散させる方法です。手軽に始められ、日常生活の中で継続しやすい点が特徴といえます。
消炎鎮痛剤の見直しと自宅で行える安全なセルフケア
現在服用中の鎮痛剤が体質に合わない場合は、種類や剤形(内服・湿布・塗り薬)を見直すのも一つの方法です。ご自宅では、椅子に座って膝を伸ばす簡単なストレッチや、適正体重の維持(減量)が関節への負担軽減につながると考えられます。無理のない範囲で継続することを推奨します。
あなたに合う次の治療を選ぶための具体的な判断基準
複数の選択肢から自分に合う治療を選ぶには、いくつかの視点で整理することが役立ちます。
膝の変形度合い(進行度)と目指したい生活ゴールで選ぶ
軽度〜中等度で「旅行に行きたい」「パートを続けたい」といったゴールがある場合は、保存療法やPRP療法が選択肢に入ります。重度で階段昇降が困難など日常生活に著しい支障がある場合は、外科的治療も視野に入れて相談するのが現実的です。
費用負担の許容範囲と治療リスクを天秤にかける
自由診療(PRPなど)は費用面の負担が大きく、手術には入院期間や合併症のリスクを伴います。保険診療の保存療法とも比較しながら、担当医と一緒に丁寧に検討していきましょう。「効果・費用・リスク」の3軸で整理すると、判断がしやすくなります。
主治医に相談する際の伝え方とセカンドオピニオンの受け方
現在の主治医に切り出しづらさを感じる場合は、「最近痛みの変化を強く感じるので、今後の方針を改めて相談したい」と伝える方法があります。他院の意見を聞きたい場合は、紹介状(診療情報提供書)の作成を依頼することも患者さまの権利として認められています。当院では初診の方にも丁寧なカウンセリングとエコー検査による再評価を行い、納得のいく治療方針をご提案しています。
よくある質問
Q1. ヒアルロン酸の手応えを感じにくい原因は?
A. 主な要因として、変形性膝関節症の進行(KL分類グレード3〜4)、滑膜の炎症や半月板損傷などレントゲンに写らない病変、筋力低下や体重増加といった根本要因が挙げられます。エコー検査などで原因を再評価することが大切です。
Q2. ヒアルロン酸注射は何回まで受けられますか?
A. 明確な上限回数は定められていませんが、一般的には5回程度を1クールとして手応えを判定します。継続の可否は症状の変化を見ながら担当医と相談することを推奨します。
Q3. ヒアルロン酸を長期間打ち続けても問題ありませんか?
A. 副作用のリスクは比較的少ないとされますが、手応えが乏しいまま漫然と継続することは推奨されません。変化を感じにくくなったら、他の治療法への切り替えを検討する時期といえます。
Q4. ヒアルロン酸注射はなぜ5回行うことが多いのですか?
A. 週1回程度を5回繰り返すことで、関節内の環境を整えることを目的としています。5回終了時点で経過を評価し、その後の方針を判断するのが一般的な流れです。
Q5. PRP療法は誰でも受けられますか?
A. 患者さまの症状や関節の状態によって適応が異なります。当院では診察と検査の上で適応を判断し、費用や通院計画についても事前に丁寧にご説明します。
参考文献
1. Minds ガイドラインライブラリ(公益財団法人 日本医療機能評価機構). https://minds.jcqhc.or.jp/

医師
えさき整形外科リウマチ科
院長
向藤原 由花
名古屋市立大学医学部卒業名古屋市立大学整形外科入局
名古屋市立東市民病院(現東部医療センター)整形外科
名鉄病院整形外科
春日井市民病院整形外科勤務
1995年
名古屋市立大学整形外科
1999年
JA愛知厚生連海南病院整形外科
リウマチ関節外科部長兼リハビリテーション科代表部長
2017年
医療法人紫雪会江崎整形外科院長
日本整形外科学会専門医
日本リウマチ学会専門医
医学博士
【所属学会】
日本整形外科学会
日本リウマチ学会
JOSKAS(日本関節鏡・膝・スポーツ学会)
日本人工関節学会
日本股関節学会
骨折治療学会
中部整形外科災害外科学会
日本運動器学会

